初恋3
可愛いだけじゃなく、バスケが本当にうまかった。かわいいのにうまかった。だから目立っていました。モテたと思います。背は高い方ではありませんでしたが、スポーツが好きで得意な感じでした。パスもシュートもドリブルもそして声も決まっていましたね。
私のチームも強くて決勝までいつもいってましたし、私もレギュラーでしたから、そして相手はいつも赤塚二中つまり彼女の学校ですから、当然彼女は自分の学校を応援します。私はコートの中で彼女を意識しながら、試合をしていました。自分たちがミスるとわーっと歓声が上がり、そして相手の選手のシュートが入るとわーっと歓声でした。
強いチームの選手は結構目立っていましたからモテないわけはないんですが、私は背丈も小さくて白くてガリガリで、速攻速攻で走ってばかり、そして相手の選手にシュートをカットされコートの外にはじき飛ばされていましたから、まったく対象外だったと思います。
そして当時は当然恋愛感情があったわけではなく、素敵な女の子だなくらいに思っていたような感じでした。
中学2年修学旅行です。京都奈良ー当時の修学旅行は小学生は日光戦場ヶ原、中学は京都奈良と決まっていました。
東京のほとんどの学校が京都でしたから、何校かまとめて日程を調整したんだろうと思います。
なんとその一緒の日程に志村二中と赤塚二中が組み込まれていたんですね。
びっくりしました。初恋の彼女が列車の中や、観光地で会えるかもしれないと思うともうワクワクがとまりませんでした。
カメラが欲しい。彼女を撮りたい。親父に頼みました。
当時はまだカメラなんでもっている生徒なんでほとんどいない時代。親父は東京光学トプコンというカメラ会社に勤めていました。
なくすんじゃないぞ。といわれたカメラ。使い方なんてほとんどわからず持っていきました。
たしか、日程の2日目。平安神宮で偶然赤塚二中の旗を持ったガイドさんを見つけました。
近くに行ったら彼女にバレちゃうし、遠くでは写せません。悩んでいたらまず男子のグループが目の前をといっても20メートルは先にいましたけど、通っていきました。そしてなんとそのあと女子のグループの先頭に友達と楽しそうに話している玲子さんがいるではありませんか。
私はいきを押し殺して(といっても平安神宮の大鳥居の入口付近、それも20メートル以上先)
カメラを持って一二歩彼女に近づき、シャッターを切りました。たった一回だけ、すぐに彼女の背中が遠くなっていきました。
だれも気がつかない一瞬の出来事でした。
それ以降、どこにいっても彼女に会うことは会うではなく見ることはありませんでした。
修学旅行がら帰ってきてすぐに親父に現像をたのみました。
友達と楽しく写っている自分たちの写真はみんな良く写っていましたが、ただ一枚だけ薄ぼんやりした制服を着た女の子が写っている写真がありました。
その写真を親父に頼んでA4版くらいに大きくしてもらい机の前においた記憶があります。
ほとんど誰だかわからない女の子の写真を大切にしていた遠い昔の記憶です。
彼女はいま何してるかな。
まだまだ思い出は続きます。